食中毒と殺菌(2)

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以前の記事「食中毒と殺菌(1)」の続きです。主に発酵食品をつくるときの話をしています。前回では殺菌とは何か・家庭でできる容器の殺菌方法食材および保存方法と菌の関係について書きました。

今回は、食中毒を引き起こす微生物について書いていきます。菌にはいろいろな種類があり、住んでいる環境や特徴が違いますから、それぞれに合った方法で対策する必要があります。

主な菌の種類と特徴

主な菌(微生物)は、水や土、野菜、肉類や卵、魚介類などありふれた所に住んでいます。室温などの条件によって増殖し、体内に入ると感染する感染型と、数が少なくても強力な毒素を出して大きな被害を与える毒素型があります。

黄色ブドウ球菌−−毒素型

主に温かいご飯の上で繁殖。でも、どこにでもいます(普段は数が少ないから悪さをしない)。肉・卵・牛乳にもいます。実は顔の皮膚の常在菌だったりしますし、健康な人のうち2〜3割の皮膚や消化管に住んでいます。皮膚の上で暮らすので、手の傷口などでも増殖します。そのため、傷のある手でおにぎりを握って常温保存すると危険。特に夏場の長時間室温放置は要注意。

潜伏期間:30分〜6時間

症状:腹痛、下痢(熱は出ない)。1〜2日で自然回復

最適増殖温度:30〜37℃(20〜45℃なら毒素をつくる)

殺菌方法:75℃1分加熱(←中心温度*なので、焼き鳥なら中火7分くらい)

なお、高温下で菌が死んでも毒素(エンテロトキシン)は耐熱性。100℃で40分加熱しても死なない=カレーなど煮込み料理でもアウトですから、加熱が対策にならないことも。手洗いなど衛生管理と温度管理といった事前の対策がとても大事。サンドイッチ、お弁当、ケーキなども作ったらすぐ冷蔵庫へ

*中心温度:食材の表面ではなく、中心の温度。どうやって測るんだと思っていたら、中心温度計というものがあります。私はスープやチョコレートみたいな液体の温度を測るのにも使ってます。むしろ、これがないとチーズ作りがうまくいきません……

サルモネラ−−感染型

家畜の腸内などに住むため、肉類・卵、ホルモン系、川の水などにいます。これもありふれた菌。頻度は食中毒トップ3に入るくらい。よくあるのは半熟オムレツ生レバー。ちなみに日本では卵の賞味期限は約2週間ですが、すごい低確率(10万個に1個とかのレベル)で「サルモネラが卵の中に最初からいた場合」に食中毒にならないよう、菌の増殖スピードを考えて設定しているそうです。裏を返せば、サルモネラが卵の中にいない99.999%の生卵は、常温で3〜6か月持ちます

潜伏期間:半日〜3日

症状:腹痛、下痢、嘔吐、発熱、だるさ。2〜3日で自然回復

最適増殖温度:30〜40℃(ただし低温に強く、5℃でも死なない)

殺菌方法:75℃1分か60℃20分加熱(中心温度)

サルモネラは低温に強く、熱には弱い菌です。よく火を通せば基本的に大丈夫。あるいは4℃以下か60℃以上での保存が推奨されています(普通の冷蔵庫は5〜8℃なので微妙……やっぱり加熱調理がベスト)。なお、食中毒では下痢止めなどの薬を飲むより水分補給が大事です。下痢・嘔吐で水分とミネラルを失って脱水になりやすいためです。ただし人によっては3日前後で治らず、重症になることもあります。。あと、意外な感染経路としてペットに触れた後、手を洗わないで食事というのもあります。やっぱり衛生管理が大切。

カンピロバクター−−感染型

頻度は第2位(1位はノロウイルス)。サルモネラ同様、家畜やペットの腸内に住むため、フンで汚染された肉類(主に鶏)・卵、川の水などにいます。菌の数が100個くらいと少数でも感染できるのが特徴で、抵抗力の弱い幼児がかかりやすいです。感染時期は真夏よりも早い5〜7月バーベキューで生焼けの鶏肉を食べて発症、という例が多い。生野菜も殺菌不足だと危険です。4℃でも生きるので、冬でも感染はあります

潜伏期間:1日〜1週間(長い!)

症状:腹痛、下痢、発熱、だるさ、頭痛。4〜5日で自然回復

最適増殖温度:30〜45℃(低温に強く、4℃でも長期生存)

殺菌方法:65℃30秒加熱(中心温度)

熱や乾燥には弱いので、しっかり中まで加熱すれば大丈夫(保存食の場合は容器を煮沸消毒)。小学生未満の子どもには生焼けNGです。キャンプの時などは各自で焼き加減を見ることも多いので、特に注意です。あと、冷蔵庫を過信してはいけません。冷やしておいても菌は減りません。そして、カンピロバクターは潜伏期間が長いので、いつどこで感染したかわからないことがあります。発症した後、家に残っている食材であやしいものは捨てるといいでしょう。

ノロウイルス−−感染型

すごく危険なウイルス(ちなみにこれ以外はみんな細菌)。集団感染で甚大な被害をもたらすので、年間患者数は堂々の第1位です。有名ですが、感染者の嘔吐物や便に触れると感染しますから、家族が感染して、片付けをしてた人も感染という連鎖パターンが非常によくあります。手袋やマスクをしていても、防ぎきれないことも。その他、吐瀉物が乾燥して空気中に漂い、鼻や口から吸い込む経路や、川から流れてきたウイルスが2枚貝に蓄積したのを食べて感染する経路もあります(新鮮な貝でも危険)。時期的には10月〜1月と冬に多く、ウイルス数100個くらいで感染できるため非常に協力です。

潜伏期間:1日〜2日

症状:腹痛、下痢、嘔吐(熱は出ても38℃以下)。2〜3日で自然回復

最適増殖温度:2〜30℃(低温にとても強く、冷凍庫でも1年以上活動)

殺菌方法:85℃1分加熱(中心温度)

ノロウイルスは一度感染しても、免疫力がつきません。つまり、何回でも感染しうるものです。発症すると症状が激しく、脱水症状になりやすいので水分・ミネラルの補給が重要です……とはいえ、嘔吐も強いので飲んでも吸収する前に吐いてしまうことも多々。脱水で入院する高齢者や幼児は多いため、口から全く飲めなそうなら早めに病院で点滴を受けた方がいいです。たまに症状の軽い人もいて、かぜっぽい症状で終了することもあるため、気づかないうちに他の人に感染していることも。このような二次感染がおそろしい特徴です。予防には加熱調理と徹底した衛生管理が必要で、調理のとき丁寧に(2分くらい)手を洗うとか、2枚貝にはしっかり火を通すとか、吐瀉物の処理には最新の注意を払うといった基本的なことがとても大事になります。

この他にも有名な食中毒菌はいくつもいます。腸炎ビブリオ菌、病原性大腸菌(O-157)、ウェルシュ菌、セレウス菌、そしてボツリヌス菌。肉・魚を使って発酵食品をつくるときにはボツリヌス菌が問題になります。最強の毒素であるボツリヌス毒素を出すし、他の食中毒菌と同様に見た目や匂いではわかりません。。これらの紹介はまた次回。

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