発酵

食中毒と殺菌(3)

以前の記事「食中毒と殺菌(1)」「食中毒と殺菌(2)」の続きです。主に発酵食品をつくるときの話をしています。第1回では殺菌とは何か・家庭でできる容器の殺菌方法食材および保存方法と菌の関係について書きました。第2回では食中毒を引き起こす微生物のうち、黄色ブドウ球菌、サルモネラ、カンピロバクター、ノロウイルスの特徴を紹介しました。

今回は引き続き、食中毒菌のうち腸炎ビブリオ、病原性大腸菌(O-157)、ウェルシュ菌、セレウス菌、ボツリヌス菌について書いていきます。

 

腸炎ビブリオ−−感染型

魚介類や海水と同じくらいの塩分濃度(3%)の水の中で生きています(生きるためにナトリウムが必要)。真水で洗わない・加熱が十分でない魚介類には要注意です。特にお刺身やお寿司などが代表的ですが、50年以上前にシラス干しで集団食中毒が起こりました。他には、魚によって汚染された野菜の一夜漬けなんかでも、たまに感染します。15℃以下では活動が鈍るため、冷蔵庫で保存するのは有効。しかし一方で、増殖速度がとても速いのが特徴です。大腸菌が4時間で1個→4000個に増えるのに対し、腸炎ビブリオはなんと1,000万個にもなります。常温放置で2〜3時間もすると、感染に十分な数に増殖します。魚介類は真水でよく洗って、できればよく加熱して早めに食べるのが大切。

潜伏期間:2時間〜24時間

症状:腹痛、下痢、嘔吐、発熱。2〜3日で自然回復

最適増殖温度:20〜37℃(4℃以下で保存・調理・消費を推奨)

殺菌方法:65℃1分加熱(中心温度)

腸炎ビブリオは感染型の細菌ですが、食中毒を起こすものとしては溶血毒という毒素を出すものが知られています。赤血球を傷つけたり体内の細胞を破壊したりするので、免疫力の弱い人は重症化することがある上、時には心臓に影響を及ぼして死亡する場合もあります

 

病原性大腸菌(O-157)−−毒素型

集団感染でよく話題になり、日本でも毎年感染者が出ています土や水、動物の排泄物など色々な場所にいます。畑でとれた野菜についていることも多いので、よく洗って食べることが予防になります。O-157の特徴は生存期間が長いこと、酸性に強い(胃液で死なない)こと、低温では増えない(でも死なない)こと。常温だと1か月くらい生き延びるので感染拡大しやすいです。8℃以下なら増殖しないので冷蔵庫で食品を保管するのは効果的ですが、冷凍庫に入れても死ぬわけではないので、注意が必要です。高温には弱いので、食べ物にしっかり火を通すことが大切です。

潜伏期間:4〜8日(長い)

症状:腹痛、下痢、血便。5〜10日で自然回復

最適増殖温度:20〜37℃(低温に強く、−50℃でも死なない)

殺菌方法:75℃1分加熱(中心温度)

病原性大腸菌の多くは感染型ですが、O-157はベロ毒素という強力な毒素を出すので毒素型に分類されます。ベロ毒素は数日後に重い合併症(尿毒症、脳症など)を引き起こすことがあり危険です。こうなると病院で長期間の治療が必要になることもあります。抵抗力の強い大人だと症状が軽めで済む場合がありますが、排泄物にO-157が付いていることには変わりません。家族に感染しないように、手洗いや消毒などを徹底する必要があります

 

ウェルシュ菌−−中間型(感染型+毒素型)

土や家畜の排泄物、魚にいます。特に多いのは、肉類。菌が芽胞という芽のようなものを出し、これがものすごく熱に強い上に芽胞ができるとき強力な毒素(エンテロトキシン)を出します。芽胞は菌が死んでも壊れません。ウェルシュ菌は熱に強く酸素が嫌いなので、肉・魚・野菜の入ったカレーやスープを大量に作って常温放置(2時間以上)したりするとよく食中毒を引き起こす。一般家庭よりも給食や飲食店で起こりがちです。カレーなどは前日に調理しないで、作ったら菌が増える前に食べきるか、急速に冷やすことが推奨されます。

潜伏期間:6〜18時間

症状:腹痛、下痢、嘔吐。症状は他より軽め。1〜2日で自然回復

最適増殖温度:15〜50℃(芽胞は高温に強く、100℃40分でも壊れない)

殺菌方法:100℃10分加熱(中心温度。芽胞は壊れない)

 

セレウス菌−−中間型(感染型+毒素型)

土や汚水、ほこりなどありふれた場所に生存しているほか、健康な人の10%には腸の常在菌としてセレウス菌がいます。普段は無害ですが、ウェルシュ菌と同じく芽胞を作り、毒素を出します。米や小麦粉を使った料理から感染することが多いですが、汚染された食事を食べるのではなく血液から菌が入って感染した場合はほぼ無症状(免疫力の弱い乳幼児や高齢者は敗血症を起こして死ぬこともあります)。食中毒の症状には嘔吐型と下痢型があります。

潜伏期間:嘔吐型は1〜5時間、下痢型は8〜16時間

症状:嘔吐型は吐き気、嘔吐、腹痛。下痢型は腹痛、下痢。1〜2日で自然回復

最適増殖温度:4〜50℃(芽胞は高温に強く、100℃30分でも壊れない)

殺菌方法:100℃10分加熱(中心温度。ただし毒素を出す芽胞は壊れない)

ちなみにセレウス菌は、医薬品として使われる高濃度(70%)消毒エタノールに耐えることがあるため、アルコール消毒があてになりません。血液感染は食中毒とは別のものですが、食中毒に関しては、ご飯や麺類を大量に調理した後はできるだけ早めに食べきるか、冷蔵庫など10℃以下の環境に入れて急速に冷やす必要があります。

 

ボツリヌス菌−−毒素型

主に自然の土、海や川にいます。ボツリヌス菌も芽胞を作る菌で、普段は芽胞の形で潜んでいます。空気がない場所を好み、加熱に強いため、缶詰や瓶詰め、真空パックなどの保存食で食中毒が起こり、死亡例もたくさんあります海外では自家製ハムやソーセージが多く、日本では飯寿司(いずし)や辛子れんこんが有名です。また、乳児にはちみつを与えるとボツリヌス中毒を起こすことがあります(はちみつは濃度が高いので空気が少なくボツリヌス菌が生息できますが、大人は腸内に常在菌がたくさんいるので感染しない……けど、乳児は腸内細菌まだいないので体内で増殖し、感染する)。

潜伏期間:8〜36時間

症状:嘔吐、視力障害、言語障害、嚥下困難、呼吸麻痺(発熱はない)。1〜2日で回復

最適増殖温度:10〜40℃

殺菌方法:120℃4分加熱(中心温度。毒素を出す芽胞には100℃2分で失活)

ボツリヌス中毒は自然界で最強の毒素と言われています。神経に障害を及ぼし、回復に長期間かかるため直ちに病院で治療しなくてはいけません。病院で抗毒素を投与されても、治療後数か月は痺れが残る人もいます。発酵食品を作るときは食材をよく洗う容器を清潔にする、酸度や塩分濃度をあげる、などに気をつけましょう。買った食品は賞味期限の間に食べきる冷蔵庫で保管するのが大切です。

※ボツリヌス菌にはいくつかの種類があり、耐熱限度が少し違っているものもあるので、上記の加熱温度はあくまで目安です。

 

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育児

安定期に入ったものの

やっと安定期に入りました。でも少し前までの方が体調良かった気がします。先日の健診で採血してフラフラになって以来、眠気やだるさが強くなった気がします。もともと低血糖・低血圧なので、その傾向が強く出るようになったのかもしれませんが……。

それだけじゃなくヘモグロビン値も基準値より下(つまり貧血傾向)なので、一生懸命鉄+葉酸サプリ飲んでるんですけど症状はあまり変わらない。鉄分量は改善に時間がかかる。。

外出先で何も食べずに立ったり歩いたりしてると突然立ちくらみがして冷や汗をかいたり(水分と糖分で回復したので多分低血糖だった)、家にいても日中ずっと眠かったり。眠りづわりがぶり返してるのか、低血圧でぼーっとしてるのか。。

お腹がすくと元気が出ないし、ご飯を食べたら食べたで胃に血が集まってすごく眠くなるし。1日の中で元気に動ける時間帯が、2週間前と比べて確実に減ったと思います。しかも、朝起きにくいし夕方眠いから、だんだん夜型になっていきそう。

 

妊婦だから血行が悪くなったりぼーっとしたりするのはある程度仕方がない。動きが鈍くなるのも当然といえば当然なんですけどね。ウォーキングとかも今全然してないので、けっこう足がむくむようになりました。ちょっと悲しいし、このまま運動しないのも体に悪い(というか、単純に足が重く感じる)なー。

せっかく安定期に入ったことだし、マタニティヨガに行こうと思います。どのヨガ教室も16週以降で医師からOKをもらった人じゃないと通えないよーという条件があるんですが、安定期は16週目以降にあたるのでちょうど解禁。

ちなみにヨガは未経験です。ピラティスなら本見ながら独学でやってた時期もありますが(ピラティスは、精神統一が目的のヨガと異なり肉体のメンテナンスが目的となります。これもかなり気持ちよく、続けるとむくみ解消できたしスッキリ細くなれるのでハマりました。それまでどうやっても取れなかった顔の肉まで消えて嬉しかった)。

今回はマタニティヨガだから運動としてはゆるい方だし、今ダイエットとか考えてないから適度に体動かせればいいな〜と思います。習い事に対してあんまり意欲がない(すぐ面倒になる)方ですが、運動の習慣はつけたいし、同じプレママどうしで情報交換できる場になるかもと思うと頑張れる気がしてきます。

あ、それ以前に体がすごく固いんだけどちゃんとポーズとれるのかしら。。

 

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発酵

食中毒と殺菌(2)

以前の記事「食中毒と殺菌(1)」の続きです。主に発酵食品をつくるときの話をしています。前回では殺菌とは何か・家庭でできる容器の殺菌方法食材および保存方法と菌の関係について書きました。

今回は、食中毒を引き起こす微生物について書いていきます。菌にはいろいろな種類があり、住んでいる環境や特徴が違いますから、それぞれに合った方法で対策する必要があります。

 

主な菌の種類と特徴

主な菌(微生物)は、水や土、野菜、肉類や卵、魚介類などありふれた所に住んでいます。室温などの条件によって増殖し、体内に入ると感染する感染型と、数が少なくても強力な毒素を出して大きな被害を与える毒素型があります。

 

黄色ブドウ球菌−−毒素型

主に温かいご飯の上で繁殖。でも、どこにでもいます(普段は数が少ないから悪さをしない)。肉・卵・牛乳にもいます。実は顔の皮膚の常在菌だったりしますし、健康な人のうち2〜3割の皮膚や消化管に住んでいます。皮膚の上で暮らすので、手の傷口などでも増殖します。そのため、傷のある手でおにぎりを握って常温保存すると危険。特に夏場の長時間室温放置は要注意。

潜伏期間:30分〜6時間

症状:腹痛、下痢(熱は出ない)。1〜2日で自然回復

最適増殖温度:30〜37℃(20〜45℃なら毒素をつくる)

殺菌方法:75℃1分加熱(←中心温度*なので、焼き鳥なら中火7分くらい)

 

なお、高温下で菌が死んでも毒素(エンテロトキシン)は耐熱性。100℃で40分加熱しても死なない=カレーなど煮込み料理でもアウトですから、加熱が対策にならないことも。手洗いなど衛生管理と温度管理といった事前の対策がとても大事。サンドイッチ、お弁当、ケーキなども作ったらすぐ冷蔵庫へ

*中心温度:食材の表面ではなく、中心の温度。どうやって測るんだと思っていたら、中心温度計というものがあります。私はスープやチョコレートみたいな液体の温度を測るのにも使ってます。むしろ、これがないとチーズ作りがうまくいきません……

 

サルモネラ−−感染型

家畜の腸内などに住むため、肉類・卵、ホルモン系、川の水などにいます。これもありふれた菌。頻度は食中毒トップ3に入るくらい。よくあるのは半熟オムレツ生レバー。ちなみに日本では卵の賞味期限は約2週間ですが、すごい低確率(10万個に1個とかのレベル)で「サルモネラが卵の中に最初からいた場合」に食中毒にならないよう、菌の増殖スピードを考えて設定しているそうです。裏を返せば、サルモネラが卵の中にいない99.999%の生卵は、常温で3〜6か月持ちます

潜伏期間:半日〜3日

症状:腹痛、下痢、嘔吐、発熱、だるさ。2〜3日で自然回復

最適増殖温度:30〜40℃(ただし低温に強く、5℃でも死なない)

殺菌方法:75℃1分か60℃20分加熱(中心温度)

サルモネラは低温に強く、熱には弱い菌です。よく火を通せば基本的に大丈夫。あるいは4℃以下か60℃以上での保存が推奨されています(普通の冷蔵庫は5〜8℃なので微妙……やっぱり加熱調理がベスト)。なお、食中毒では下痢止めなどの薬を飲むより水分補給が大事です。下痢・嘔吐で水分とミネラルを失って脱水になりやすいためです。ただし人によっては3日前後で治らず、重症になることもあります。。あと、意外な感染経路としてペットに触れた後、手を洗わないで食事というのもあります。やっぱり衛生管理が大切。

 

カンピロバクター−−感染型

頻度は第2位(1位はノロウイルス)。サルモネラ同様、家畜やペットの腸内に住むため、フンで汚染された肉類(主に鶏)・卵、川の水などにいます。菌の数が100個くらいと少数でも感染できるのが特徴で、抵抗力の弱い幼児がかかりやすいです。感染時期は真夏よりも早い5〜7月バーベキューで生焼けの鶏肉を食べて発症、という例が多い。生野菜も殺菌不足だと危険です。4℃でも生きるので、冬でも感染はあります

潜伏期間:1日〜1週間(長い!)

症状:腹痛、下痢、発熱、だるさ、頭痛。4〜5日で自然回復

最適増殖温度:30〜45℃(低温に強く、4℃でも長期生存)

殺菌方法:65℃30秒加熱(中心温度)

熱や乾燥には弱いので、しっかり中まで加熱すれば大丈夫(保存食の場合は容器を煮沸消毒)。小学生未満の子どもには生焼けNGです。キャンプの時などは各自で焼き加減を見ることも多いので、特に注意です。あと、冷蔵庫を過信してはいけません。冷やしておいても菌は減りません。そして、カンピロバクターは潜伏期間が長いので、いつどこで感染したかわからないことがあります。発症した後、家に残っている食材であやしいものは捨てるといいでしょう。

 

ノロウイルス−−感染型

すごく危険なウイルス(ちなみにこれ以外はみんな細菌)。集団感染で甚大な被害をもたらすので、年間患者数は堂々の第1位です。有名ですが、感染者の嘔吐物や便に触れると感染しますから、家族が感染して、片付けをしてた人も感染という連鎖パターンが非常によくあります。手袋やマスクをしていても、防ぎきれないことも。その他、吐瀉物が乾燥して空気中に漂い、鼻や口から吸い込む経路や、川から流れてきたウイルスが2枚貝に蓄積したのを食べて感染する経路もあります(新鮮な貝でも危険)。時期的には10月〜1月と冬に多く、ウイルス数100個くらいで感染できるため非常に協力です。

潜伏期間:1日〜2日

症状:腹痛、下痢、嘔吐(熱は出ても38℃以下)。2〜3日で自然回復

最適増殖温度:2〜30℃(低温にとても強く、冷凍庫でも1年以上活動)

殺菌方法:85℃1分加熱(中心温度)

ノロウイルスは一度感染しても、免疫力がつきません。つまり、何回でも感染しうるものです。発症すると症状が激しく、脱水症状になりやすいので水分・ミネラルの補給が重要です……とはいえ、嘔吐も強いので飲んでも吸収する前に吐いてしまうことも多々。脱水で入院する高齢者や幼児は多いため、口から全く飲めなそうなら早めに病院で点滴を受けた方がいいです。たまに症状の軽い人もいて、かぜっぽい症状で終了することもあるため、気づかないうちに他の人に感染していることも。このような二次感染がおそろしい特徴です。予防には加熱調理と徹底した衛生管理が必要で、調理のとき丁寧に(2分くらい)手を洗うとか、2枚貝にはしっかり火を通すとか、吐瀉物の処理には最新の注意を払うといった基本的なことがとても大事になります。

 

この他にも有名な食中毒菌はいくつもいます。腸炎ビブリオ菌、病原性大腸菌(O-157)、ウェルシュ菌、セレウス菌、そしてボツリヌス菌。肉・魚を使って発酵食品をつくるときにはボツリヌス菌が問題になります。最強の毒素であるボツリヌス毒素を出すし、他の食中毒菌と同様に見た目や匂いではわかりません。。これらの紹介はまた次回。

 

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仕事

校正の仕事を始めたい人に必要なこと

これから校正の仕事を始めようとする人に向けた記事です。主婦の方が、家事や育児の合間にできる仕事として昔からよく候補に挙がる職種だと思うのですが、いざ仕事を始めるには何が必要かということをお話しします。

国語力・注意力・集中力

仕事の内容については、以前「校正者は何を見てるか」という記事でざっくりと書きました。誤字脱字を見つけるのはもちろん、文章全体で矛盾したことを言っていないか言い回しや言葉の接続(×:上を見上げる→◯:上を見る、×:明るみになる→◯:明るみに出る・明らかになる)などもチェックします。これに気づくには、文が論理的かどうか判断したり、正しい用法が何か知っている必要があります。つまり、国語力が必要です。本をよく読んでいる人は比較的得意かもしれませんが、普通の読書と違う点として、書いてあることをすべて受け入れるのではなく「本当に正しいか」を吟味しながら読む必要があります。

読むときには、作業効率の観点から言うとスピードもある程度重要になってきますが、見落としを極力なくさなくてはいけません。同じ文章を何度も読み返さなくてすむよう、集中して一度に多くの誤りを見つけます。よく出てくる単語に表記揺れはないかどういう単語に表記揺れが多いか、あるいは一つの単語の中でどの表記が多いか(いう・言う、もつ・持つ)など。出現数が多い方に合わせて表記を統一することもありますから、どっちが多いか大体把握しながら読み進めることも必要です。クライアントによっては独自の表記ルールが細かく決まっていることもありますから、最低限そのルールに書かれている点は見落としがないようにします。

注意力は、慣れや経験によって培われることが多いかもしれませんが、はじめのうちに見落としやすいものをいくつか紹介しておきます。最近はwebコンテンツの校正の仕事をクラウド上で行うケースが増えていますが、webコンテンツで特に多いのは誤変換です。見間違いやすいものもある(×:週間誌→◯:週刊誌、×:内蔵脂肪→◯:内臓脂肪)ため、仕事に慣れない人が流し読みをしていると簡単に見落とします。

あとは、まれに書籍などの紙媒体をスキャンして文字データにしているものがあり、見た目が似ていて全く違う字が入っていることがあります(×:話を間く→◯:話を聞く)。注意しないと特に見逃しやすいものです。

情報収集力

文章を読んでいて、正しいかどうか分からない部分は調べます。例えば、「お肌のアンチエイジングにはヒアルロン酸がおすすめです。市販のサプリメントを飲むことで手軽に若さを取り戻せます」のような文があったとします。読み流してしまいそうですが、コラーゲンがアンチエイジングに有効かどうか、自分が科学的な根拠を説明できないときには調べます。個人のサイトや販売元の広告はあまりあてになりません。Wikipediaも、作成者が匿名だったりするので信頼性が十分ではありません。公共機関のサイトや刊行物Google Scholor(論文検索エンジン)、専門書など事実を確認できる資料をあたって、「効果がある」と結論づけられている文献があればOKですが、そうでないときには指摘を入れます。上の例だと、次のような指摘になると思います。「ヒアルロン酸には皮膚組織の水分を保つ機能はありますが、サプリメントなどで経口摂取すると分解・全身に吸収されるため、顔の皮膚に直接効果をもたらすとは言い切れません。また、サプリメントは健康食品であって医薬品ではないため、効果を断言することは薬事法で禁じられています。美容皮膚科などで行われるヒアルロン酸注射であれば、顔面に直接注入するため注入部分のシワなどにある程度の効果が見込めます」……長いですね。

ちなみに、文章を直接修正するのではなく、紙面の余白やテキストファイルのコメント機能を使って指摘を記入します。クライアントが困らないように、代替案を入れるとなお良し。上の例では「お肌の潤いを取り戻すには皮膚にヒアルロン酸を補うことが効果的です。市販のサプリメントを飲むと消化・吸収され全身に成分が行き渡りますが、顔のシワにピンポイントで効果を求めるならヒアルロン酸注射がおすすめです、などとしてはいかがでしょうか?」くらいでしょうか。もっと縮めてもいいですが、サプリメントだと顔のシワだけに100%成分が届くわけではないことや、どうすれば顔のアンチエイジングが可能なのかを入れた方が、読者にとって親切かなと思います。

校正の仕事にもいろいろありますが、こういう指摘が必要な校正では情報収集力が高いほど、作業スピードや校正の質が上がります。また、得意分野がある人は、調べる手間が少なくて済む場合がありますからなお有利です(それでも指摘を入れる場合は、文献や信頼できるサイトを参照元として挙げる必要があります)。

資格もいいけど経験が大事

これは個人的な意見ですが、経験に勝るものなしという感じがします。校正の仕事を始めるつもりなら、少しでも早く始めて多くの経験を積む方が今後の仕事につながります。初期の能力が高いに越したことはありませんが、数をこなしている人の方が気づくことが増えるというのも事実。実際に、未経験で資格などがない人でも応募できる仕事はあります(単価や時給はやや低めかもしれませんが)。勉強のためには、毎回通勤するスタイルでその都度仕事の出来ばえを対面評価してもらえるシステムのものがいいと思います。また、同僚の仕事を見て学ぶことができる環境もおすすめです。というのも、最初から完全に一人でクラウド上だけで仕事をすると、フィードバックが受けられないので自分の校正がいいのか悪いのか、成長しているのかすらわかりません。校正した後、その文章が最終的にどうなったかも知ることができないのが普通です(クライアントの判断で校正結果が不採用となる部分もある)。

なお、校正者の資格としては日本エディタースクールの校正技能検定というもがあります。全くの未経験で、仕事を始める前に準備や資格が必要、と感じる方は通信講座などを受けて検定を受けるのもいいと思います。ちなみに私は校正の仕事を8年していますが、この検定を受けたことはありません。資格がないと仕事をさせてもらえない、といったことは今までに1件もありませんでした。実際の採用判断ではクライアントが行うトライアルテストで合格すればいいという場合が多く、経験を通して培われる力を信用して仕事を下さるということもあります。

 

根気のいる仕事ですし、どこかに自分の名前が載るとかはないので日の目を見ない業種ではありますが、職域の範囲で徹底的に文章と向き合えるという面ではとてもよいものです。職人気質な人が校正者に向いているとも言われます。まあ、いろんな方が校正をしているので一概には言えませんが。。いずれにせよ、文章の質を高めて誤りをなくす大切な仕事だと私は思っています。校正の仕事をしたいと思っている人は、まず始めてみることが一番重要かもしれません。

 

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発酵

食中毒と殺菌(1)

発酵食品を作るにあたって、気をつけないといけないのが食中毒。長期保存するときは特に、容器を殺菌・消毒するのが大事です。空気中にはカビや雑菌が漂っているので、きれいに洗ってしまってあったとしても、そのまま使ってはいけません。一見きれいに見えても、保存した食品にカビが生えて食べられなくなるとか、味や匂いに問題がなくても食中毒になる可能性はあります。使う前に煮沸消毒かアルコール消毒しましょう。

 

そもそも殺菌・消毒とは、「菌を死滅させて、増殖可能な一定数より減らすこと」です。ちょっと布で拭いただけではダメ。煮沸消毒なら、ビンを丸ごと熱湯に入れて30分は煮る必要があります(煮沸時間が短いと、十分に菌を死滅させられない場合があります)。アルコール消毒なら、消毒用エタノールなどアルコール濃度の高いもの(70°以上)で容器内をまんべんなく拭く。なお、焼酎は35°程度なので殺菌効果は薄いことに注意。

 

殺菌と似ている言葉として、除菌、抗菌、滅菌がありますが、それぞれ菌を寄せ付けない度合いが異なります。一番威力が高いのが、滅菌。科学的な処理で、その場から全ての菌を死滅させ「無菌状態」をつくりだします。その次に威力があるのが殺菌。その場の菌を死滅させます。薬用石けん・医薬品の消毒薬などに殺菌効果があります。

除菌は、殺菌より威力が劣ります。漂白剤とか洗剤には除菌効果があります。効き目は、その場から菌を取り除くこと。必ずしも菌を殺すとは限らないけど、物理的に洗い流すことで、菌を増殖できない数にまで減らします。

抗菌は、菌の増殖を抑える効果があります。でも、菌を死滅させたり数を減らしたりすることはできません。滅菌・殺菌・除菌と比べると効果は劣ります。

 

発酵食品は体の中に入るし、長期保存するのでできる限り雑菌が入り込まない状態にしないといけません。自分の家でもできる方法の中で最も威力のある「殺菌」が必要です。耐熱性のあるものなら煮沸消毒、それ以外はエタノールがおすすめ。

保存容器だけでなく、食材そのものに雑菌が付着していることも多々あります。野菜の場合はよく洗えば大体OK。肉や魚、卵を使う場合はできるだけ鮮度のいいものを使います。殺菌するには加熱が一番ですが、食材のタンパク質やその他の組織が変質してしまうので、ソーセージなど非加熱の発酵食品を作るときは素材を加熱して殺菌することはできません。せめて、食べる前によく加熱するといいかもしれません。ドライソーセージとかピータンは無理でしょうけれど。。

 

一定以上の時間、高温状態にあると大体の雑菌を殺すことができます。75℃で1分間加熱することで、食品や食器なんかに付いているサルモネラやO-157などの主要な菌は死滅します。ただし、黄色ブドウ球菌やボツリヌス菌は毒素を放出し、その毒素が熱にとても強いので、加熱によって菌を殺せても毒素の影響で食中毒になることはあります。食品を常温放置したりすると菌が増えるので、清潔な環境で、素材が新鮮なうちに素早く調理や仕込みを済ませることが肝心です。

 

なお、菌によっても弱点は異なります。塩分が苦手な菌の場合、保存方法が塩漬けだったらまず安心。同じように、酸性が苦手な菌は、酢漬けの液の中では基本的に増殖できません。酸素がないと生きられない菌は、密閉しておくだけで淘汰されます。

(それでも温度や湿度、フタが緩いといった条件によっては、たまにカビたりします……また、ピクルスとかの野菜が漬け汁からはみ出ていると、そこからカビます(T-T))

 

まあ、カビなどの菌は増殖すると見た目や匂いでわかるので、間違って食べてしまって食中毒になるということはあまりないでしょう。食中毒でやっかいなのは、食品に潜んでいてもよく分からず、体内で強力に影響する菌です。予防のために、できるだけ安全な環境を整えて発酵にのぞまなくてはいけません(家族も食べるので)。